awk終の住処

電脳小物をこよなく愛して

バクテリア

 「水清ければ魚住まず」と言いますが、水槽で魚を飼っているとこのことを実感します。もちろん水の清濁ではなく、生物濾過のためのバクテリアを大切にということですけどね。


実家はすごい田舎で、真っ青な色の川(というより渓谷ですが)の近くに住んでいましたから、子供のころにはよく川で釣りをしたり、泳いだりしたものでした。
当時は公共の水道も無くて、そばを流れる小川の上流から引いた私設水道と井戸からポンプで吸い上げる水が、生活に無くてはならないものでした。(はて、いつの時代の話なんでしょうね)


そのせいか、魚の住む水と飲み水を同一視する傾向があります。ですから魚を飼い始めたころは、濾過フィルターに付く汚れやくすみが我慢できず、きれいさっぱり掃除してしまってました。
*1
当然、水質は安定しませんし、試薬で水質チェックばかりしては、そのくせ大切な魚を全滅させてしまったこともありました。


そんなわたしに、水槽飼育でのバクテリアの大切さを気づかせるきっかけを与えてくれたのが、パールグラミーという魚です。
この魚は糸のように伸びた長い鰭を持っていて、成魚のオスの腹部にはきれいな赤色(オレンジかな)が入ります。見かけと違い、結構強い魚ですので、仕事の忙しさに追れ、つい水質変化をさほど気にせず飼っていたのですが、飼う期間が長くなるにつれ、もっと大きく、もっと長く飼っていたいと思うようになりました。


こうなると、自然に魚の体調が気になり出します。
いえ、それまでだって見て無かったわけではないのですが、どちらかといえばはっきりと現れてしまった結果としての体調を見ていたに過ぎなかったのだと思います。
それが毎日、小さな変化も見逃さぬとばかり、餌の量、泳ぎ方、鰭や鱗の様子をチェックしますので、試薬の数字で出てくる水質だけでなく、魚の体調を含めた水質チェックを自然とするようになりました。


で、ある日フィルター掃除を忘れた放置してしまった期間、意外に魚の調子が良さそうなことに気が付いたのです。そのことを当時通っていたショップの店長に話すと、生物濾過の話を延々と説明してくれました。
それからはフィルターの洗い方や交換にずいぶん気をつけるようになり、パールグラミーも不慮の事故で逝くまで、その美しい魚体を長く堪能させてくれました。


今グラミーは一匹も飼っていませんが、いつかグラミーで一杯の水槽を作ってみたいと思っています。それこそ、バクテリアに守られた輝く水と共にね。

*1:ノウハウ本もあまりありませんし、ネットも今のような環境ではありませんでしたので、ショップでの会話が大切な情報源でした。